この御廟橋を渡ると弘法大師空海御廟への霊域、奥之院に入ります。ただし、ここから先は残念ながら、一切写真撮影などは禁止されています。
奥に見えているのが灯籠堂と言われる拝殿。真然(しんぜん、空海の甥とも)大徳が建立し、治安3年(1023)に藤原道長によって現在のような大きな灯籠堂になりました。中央の大壇と対置するようにその奥の堂外に、ひっそりと御廟が佇み、堂内にも外の壁にも地下にも、信者の灯籠が万燈を超え、数え切れないほど奉納されています。護摩壇には火が入っていて、古い灯籠の中には千年以上燃え続けているものもあるそうです。
とにかく私語も制限されていて、読経と杉木立を渡る風の音だけですから、静謐そのものでした。思い入れもあるかもしれませんが、まったく比較するもののない空間と時間です。1200年はただの伝統などではなく、理解した上で受け入れることの出来る者、感応出来る者にとっては至高の価値を持ったものなのです。狂信は願い下げですが、大げさでもなく智・情・意すべてに働きかけてくるものが、他に何かあるでしょうか?
D4s + AF-S NIKKOR 24-70mm f / 2.8G ED